導入事例APPLICATION EXAMPLE

エンジン・モータ・コントローラ導入事例

導入製品:ハイブリッドユニット(モータ一体型エンジン、パワーコントロールユニット)

豊田自動織機と日立建機の、新技術と創造力を結集、次世代20トン・ハイブリッド油圧ショベルという、新たなる挑戦!!

日立建機株式会社様

パワー・情報制御プラットフォーム事業部
部長 石川 広二様

はじめに

ハイブリッド油圧ショベル ZH200-6

アシスト発電モータと一体型になった3.0L新型ハイブリッドディーゼルエンジン

この度、豊田自動織機の製品をご採用いただいた日立建機様は、総合建設機械メーカーのひとつとして、世界をリードする先端技術の開発により、建設機械の無限の可能性に挑戦し、ご成長を続けています。主力製品である「油圧ショベル」の世界シェアは、業界トップクラスであり、自社保有技術に磨きをかけると同時に、幅広い分野の新技術にも興味をお持ちになられています。今回、オフロード法(※1)2014年基準適合の油圧ショベルを製造・販売するにあたり、豊田自動織機製のハイブリッドユニットとの共創によるその経緯とご感想を、日立建機株式会社 石川様にお伺いしました。

選定理由

オフロード法(※1)2014年基準の規制値クリアに向けて。

日立建機では、2011年に初代ハイブリッド機を発売、2013年に2世代目を発売しました。油圧ショベルは、排出ガス規制が4~5年毎に改定され、そのタイミングでモデルチェンジをし、規制値をクリアする必要があります。オフロード法(※1)2014年基準に向けて、20トンの油圧ショベルのエンジン領域は、2017年の発売がリミットでした。軽油の価格も上がり、もっと低燃費の油圧ショベルが欲しいというお客様のニーズも高く、そこに向かってさらに性能の良いハイブリッド油圧ショベルを造るという使命がありました。

全評価項目で、豊田自動織機さんが群を抜いていました。

前モデルのハイブリッド機は、エンジン・モータ・油圧ポンプと、個々のメーカーがそれぞれに開発・製造したものを日立建機でシステム化していました。ハイブリッド油圧ショベルとしての設計のポイントは、エンジン+電動モータの出力バランスを兼ね備えた最適なハイブリッドユニットを選定し、コンパクトに搭載すること。絶対的な制約として、油圧ショベルに載せられるサイズを造れるのか。耐久性や信頼性はどうなのか。価格は妥当なのかなど…。様々な課題がありました。

とりわけ重視したのは、開発時の段階で、いま考え得る最高のシステムを入手したかった。そういう意味で、豊田自動織機さんのハイブリッドユニットは信頼性もコスト的にも、選択肢の中で最適だという判断がありました。特に期待したのは、供給されるのが1KDエンジン(※2)だということ。コスト的にも優秀で、信頼性のあるディーゼルエンジンが手に入るという期待感がありました。またトヨタ自動車の源流企業でもあり、メーカーとしての信頼性もあります。日立建機に対して十分な開発体制での布陣、安心してお互いがやっていけると確信しましたね。

開発経緯

尿素SCR(※3)なしとモータ一体型エンジンの納入が開発の決め手。

排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)低減の技術として、一般的な方法では、尿素SCR(※3)システムを用います。しかし今回は、豊田自動織機さんの独自技術により、オフロード法(※1)2014年基準を世界で初めて尿素SCRなしで達成するユニットを開発し、ご提案いただいたのが大きな魅力でした。尿素水の補給や購入コスト、保管の手間を省くことができ、お客様が一番魅力を感じてくれるだろうと、我々は判断しました。日立建機側では、尿素タンクが無くなり、コスト低減やデザインの自由度が広がり、油圧ショベルの市場優位性としても魅力的。そういったプラスアルファがいくつもありましたね。この提案段階で、これはもう豊田自動織機さんとやるのが一番、ぜひ一緒に続けてみたいと思いました。

もうひとつの決め手として、エンジンと電動モータを合わせた一体型のハイブリッドユニットでの納入が大きなポイントでした。性能確認や信頼性を担保した上で納入してもらえる、これまでの経験を考えると大きなメリットでした。尿素SCRなしとエンジン+モータ一体型での納入、この2つの提案が共同開発の最大のキーでしたね。

学ぼうとする意識が非常に高いのが、豊田自動織機さん。

試作評価が始まってからは、油圧ショベルに必要な応答性や振動試験、耐熱設計など、最初の2~3年は改良試験を繰り返し行っていました。同時に、豊田自動織機さんは、その期間に油圧ショベルのことを大変勉強されていました。建設機械領域への参入は始めてだったのですが、豊田自動織機の皆さんは学ぼうとする意識が非常に高く、設計者の方が油圧ショベルの免許を取得し、運転して確かめるなど…。どういう構造で実際にどう使われるのか自ら理解するよう努めておられました。

ハイブリッドユニットの部分は、基本的に豊田自動織機さんに一任していましたが、クルマの仕様と建設機械の仕様とではかなり違いがあります。油圧ショベルに適合させるにあたって、振動性や耐熱性などを含めて、様々な方向から検証していきました。

また油圧ショベルには、クルマと違って急劇なトルク変動が必要です。そういった時にエンジン回転が下がり過ぎないようにする。その状態で燃費性能や排出ガスの量を調整したり、クルマとは違う評価や検証を繰り返しました。他のメーカーさんよりも強く感じたのは、解析結果や試験結果などを、オープンに提示してもらえること。それによって信頼し合って、安心して任せられたと思います。

導入効果

製品の社内評価も高く、今後も良いパートナーとして。

日立建機の特長でもある、操作性の高さに加え、燃費や騒音の低減、尿素SCRなしでの優れたメンテナンス性などを実現したいという共同開発の当初の狙いは、お客様から高く評価されています。発売後の初期不良も出ておらず、豊田自動織機さんから期待通りのハイブリッドユニットを提供していただき、信頼性の高い製品に仕上がったというのが、我々社内の評価です。

また、試作から開発・量産、発売に至る準備や、品質・信頼性の考え方、日程管理など、一緒に活動してきて勉強させていただくことも非常に多く、一流企業ならではの考え方に、学ぶべき点が多かったのも確かでした。今後は、エンジンや電動機器だけでなく、他の技術分野でも、モノづくりの良きパートナーシップを互いに発揮できたらと思っています。

製品資料

※1 オフロード法:特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律

※2 トヨタ1KD型ディーゼルエンジン: 豊田自動織機ではこのトヨタ産業用エンジンを、トヨタL&Fフォークリフトへの搭載に加え、建設機械や農業機械、発電機など、広く産業機械用エンジンとして開発。優れた環境性能が評価され、2014年、第15回物流環境大賞「物流環境負荷軽減技術開発賞」を受賞。

※3 尿素SCR:Selective Catalytic Reduction/選択還元型NOx触媒。排出ガスに含まれる有害物質、NOx(窒素酸化物)をアンモニアと反応させて、窒素と水に還元する尿素SCRシステムで、排出ガスを低減している。この方式は、NOx対策の面では効果的だが、尿素水を常に補給・保管する必要があり、メンテナンス面ではユーザーに負担をかけている。

日立建機株式会社様 土浦工場 〒300-0013 茨城県土浦市神立町650番地