技術者インタビューEngineer interview

高出力密度モータコントローラ開発

コントローラ ハードウェア編

高出力密度モータコントローラで
ハイパワーと高い搭載性を実現。

トヨタL&Fカンパニー R&Dセンター
SC開発部SC開発第二室
グループ長 蟹江 直人

はじめに

世界ナンバーワンのフォクリフトメーカである豊田自動織機製フォークリフトには、とても小型で高出力なモータコントローラが採用されています。今回はモータコントローラ開発グループマネージャである蟹江さんに当時のコントローラ開発の状況について聞きました。

豊田自動織機製フォークリフトには小型かつハイパワーなモータコントローラが採用されています。高出力密度という特徴をもつモータコントローラを開発することになった理由は、どのようなものですか?

それまで開発してきたフォークリフト用モータコントローラは、機種毎に最適化を狙い、カスタム的な開発をしてきました。フォークリフトにはモータコントローラ以外に主制御とよばれるコントローラが機種毎に必要となるのですが、前世代ではこの主制御と走行・荷役コントローラを一体化したかなりカスタマイズされた製品を生産していました。

一方でフォークリフトは、機能向上のため搭載部品が増加しており、モータコントローラへの小型化要求も強くなりました。他の専業メーカ製モータコントローラが、より汎用品に近づき小型化に向かう中で、我々にとっても小型化が必須の要求となってきました。

そこで今回の開発では、世界でもっとも高出力密度なフォークリフト用コントローラの開発を目指して、他社容積比で30%減をターゲットに、かなりアグレッシブな目標をたてて開発を進めました。

フォークリフト用モータということで、特に重視していたことは何でしたか?

当然のことですが、トヨタフォークリフトに搭載できるだけの十分な信頼性、耐久性が必要でした。電子部品のかたまりであるコントローラの信頼性を高めるのは、設計品質だけでなく、部品レベルでの品質確保が非常に重要になります。そこで、当社エレクトロニクス事業部がハイブリッド車向け等の車載電装品を開発・製造しており、そのノウハウを取り入れることで、トヨタフォークリフト向けに充分な品質を確保することができました。

モータコントローラの開発に、苦労したことはありますか?

モータコントローラは大電流を流す製品のため、筐体を小型化するとかならず発熱の課題に直面します。コントローラの発熱を対策しないと、フォークリフトが継続的にパワーを出せないといった問題が発生します。従って発熱をいかに抑えるか、また発生した熱をいかに逃がすか、設計上の工夫が必要でした。

そこでモータ電流を出力するMOS FET基板の設計では、シミュレーションを駆使して、損失を減らすための最適なレイアウトを実現しました。またハードウェア設計だけでなく、制御ソフトウェアとの組合せにより、スイッチング損失を減らし、発熱を低減させることに成功しました。放熱機構の設計は、放熱フィンのサイズや枚数の組合せをかえて、何通りもシミュレーションした結果、その形状を最適化することができました。

その当時、本当に小人数のチームで設計していたので、一人の設計者がカバーする範囲が広く、私自身も構造設計、基板設計から海外部品の選定まで幅広い業務を経験させてもらいました。

高出力密度モータコントローラ導入後の評価はいかがですか。

当時の機台の設計者には、コントローラを大幅に小型化したことで機台のレイアウト設計が非常に楽になったと、とても喜んでもらえました。

また品質面でもトヨタフォークリフトの高い信頼性に貢献できたと自負しています。

今後どのような開発をしていきたいですか?

いま海外の開発メンバーと一緒に仕事をしていますが、国内の開発と違って、海外の規格対応、文化やコミュニケーション方法の違いで、少し苦労しています。そんな苦労を乗り越えて、われわれのコントローラが世界中の機台に搭載されるよう頑張っていきたいです。

Creating the future of logistics and mobility with leading-edge electrification technology